ある日のこと

好きな人のことを考えていると世界はきゅっと縮まる。黒い画用紙に開けられた小さな点から世界を覗いているみたいに周りのことがよくわからない。頭は常にふやけてブニョブニョになったみたいに働かないのに、LINEのいちメッセージや電話でのやりとり、デートでの仕草や言葉を猛スピードで再上映しては裏があるのではと悩んだり運命だ!と身悶えたりするのに忙しい。体の中心がギュッと緊張して、相手に触れた手のひらは全身がそこを奪い合うみたいにむずがゆくなる。つまり全くの役立たずになってしまうのだ。

私は今そんな状況の中、電車に揺られている。少しだけ間隔が空いてしまったので少しひさびさに会えるのだ。やった!やった!

会っていない間に一人で出かけた動画を好きな人に送ってみた。こういうの嫌な人もいるかなぁと内心ヒヤヒヤしながら送り、伝えると「わざわざ撮ってくれて嬉しい。嫌だなんて思わないよ」と返信が。真っ直ぐ言葉で伝えてくれる人で助かった、これは命に関わるからね。

というわけで行ってきます!健闘を祈ってね。