毎日絵を描いて、たまに褒められたい

あ〜〜〜絵が描きたい絵が描きたい。

私の頭の中は大体こうだ。24時間365日そう。ああ絵が描きたい。

じゃあ描けばいいのにねって思うけど、仕事は疲れるし家に帰る時間も遅い。子どもの頃みたいに家に帰ってリュックを置いたらご飯の時間まで自由時間、さらに食べ終わって「お風呂入りや〜」とせっつかれるまで自由時間part2、さらにさらに眠りにつくまでひたすら自由時間part3ともなれば絵も山ほど描いていたけど、こちらももう大人なので私もやるべき家事がある。疲れて家に帰り、ご飯風呂家事明日の準備をすればすっかり眠る時間で、夜更かしすれば翌日の午前中は眠気で使いものにならない。何だかとっても悲しい。

そうやって描く頻度がどんどん下がると、今度は反比例するようにたまに描く1枚への期待値がグググと上がる。

めったに描かないのだから成功させたい。満足のいく出来のものを描きたい。明日の朝「これはうまく描けちゃったな〜!」なんて思いながら何度も何度も眺めてしまえるような絵を……!そう思っていると自分は一体何を描きたいのか、どういうものを表現したいのか、何が好きで何をいいと思う?なんて事はほったらかしになってひたすら見栄見栄見栄。完璧を目指すには何百もの失敗が必要なのに。

本当の本当は、べつに良い絵を描きたいんじゃない。Twitterの評価とかどうでもいい。絵を描いて「たのしいな〜!」と思っていたあのワクワクとか、私の絵が世界で1番だな〜!と一人でクスクス笑っていたあの時間がたまらなく愛おしくて大好きで、また味わいたい。戻りたいだけなのだ。

 

そういえば少し前に「字が綺麗ですね」と仕事先の人に褒められた。人にじっと見られながら文字を書くのはかなり苦手なのだけど、そう言われると嬉しい。ササッと書かれたけど綺麗だったので…とすこし遠慮がちに伝えてくれた相手を見ていると、中学生の時、前の席に座る子がパッと私のノートを見て「めっちゃ字綺麗やん!」と勢いよく褒めてくれた日のことを思い出して何だか少し可笑しかった。

それからというもの、何か文字を書くたびに彼の「字が綺麗ですね」が頭の中でリフレインする。その度に(私の字は綺麗なんですよ…)とマスクの下でニヤニヤしながらちょっと気取って文字を書く。ほらね、綺麗な字でしょ?とでも言わんばかりに。

絵も、欲を言うならそうやって褒められたいな。もちろん褒めてくださる方はありがたいことにいて、ツイートで褒められたらスクショを印刷して大事に保管しているタイプだ。でももっと欲を言うなら、面と向かって褒められたい。突然、思いもよらない人から言われたりしたら……。

そしたらきっと、またひとりでニヤニヤするのだ。素敵な絵でしょ?とでも言わんばかりに。